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CMOS アナログ回路はなぜ難しい?

CMOS アナログ回路は難しいと感じている人が多いと思います。

私も勉強を始めてからいろいろな壁にぶつかりました。
そのなかでこれは…と感じた項目をいくつか紹介したいと思います。

そもそも専門分野として独立していない!
最近になって「CMOS アナログ回路」という文字の入った本が登場していますが、そもそも「半導体物性」「電気回路」「電子回路」「自動制御理論」など多くの学問の寄せ集めみたいなところがあると感じています。どれから勉強しようかなぁ…と思っても、とっかかりがないんです。

最近は、CQ出版社から書籍がいくつか出ています。CQ出版社トップ右上の検索窓から検索をかけたり、トランジスタ技術 SPECIAL For フレッシャーズのバックナンバーなどが、とっかかりの一つになるかなと思います。

必要な知識は古い学問?!
CMOS アナログ回路で必要な知識は何十年か前に盛況だったものが多いようです。自動制御理論ででてくる位相余裕などは古典と呼ばれる分野のようですし、CMOS デジタル回路の普及のおかげか、オペアンプの設計を扱う書籍が少ない気がします。現状、必要な書籍を探すのはかなり根気がいります。

やっぱり数式かよ!
電気・電子系の書籍は数式の嵐です…でも、設計や開発の現場で数式を使うことはほとんどありません…なにせ、CMOS アナログ設計はシミュレーションでの確認が普通ですので。

このブログでこうした壁をぶちこわす手助けになるよう頑張ります。

洋書には要注意!
最近、洋書の訳本という形の書籍が売られています。例えば、丸善アナログCMOS集積回路の設計のような本です。
(左上検索窓に「CMOS アナログ」と入れれば出てきます)しかし、この手の本は前書きに、電気・電子・デバイスなどの基本知識は持っていること!と書いてあることが多いです。つまり、入門書ではない!可能性が高いです。ご注意を。
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CMOSアナログ回路を勉強する(1)

CMOS アナログ回路を勉強したい!と思っても壁が立ちはだかります。数式だらけで難しい…、専門書の値段が高い…とか壁にもいろいろです。ここでは、CMOS アナログ回路やアナログ設計の知識を得る方法についてよもやま話を書いてみたいと思います。

今回取り上げるのはインターネットです。

検索サイトや Wikipedia は強い味方!
検索サイトでHPを探すのはやはり強い味方です。特に Wikipedia はどんどん強力になっています。Wikipedia の各ページの下にある関連項目で孫引きなんてことも魅力的です。書籍を購入して勉強した内容もかなり掲載されている気がします。

半導体製造メーカーのアプリケーションノートを見てみる!
メーカーは自社製品を快適に使ってもらうため、アプリケーションノートとか技術レポートなるものをHPに掲載しています。そのなかに一般的なことがかかれているものがあります。これを使わない手はありません。試にいくつか探してみました。

テキサスインスツルメントのアプリケーションノート一覧
Analog Device の技術資料検索サイト
マキシムのアプリケーションノート一覧

なお、メーカーの中には SPICE のモデルを置いていたり、ツールを置いていたりしているところもあります。

ついでに、製造メーカーなんて分からない!という時ですが、部品販売のHPである RSDigikey で探すと割合楽にメーカーがわかるかと思います。

CMOSアナログ回路を勉強する(2)

CMOS アナログ回路やアナログ設計の知識を得る方法についてのよもやま話2回目です。

今回取り上げるのは書籍です。

関連書籍をまとめたHP
関連書籍をまとめてあるHPを紹介します。
コンピュータの森 電気回路
CMOS アナログ関連
SPICE シミュレーション関連
SPICE・電子回路関連
作成してくださった方に感謝!です。

関連書籍を出している出版社
アナログ関連の書籍は非常に多くのものが出ています。有名どころの出版社については以下の通りです。

CQ 出版社トランジスタ技術 SPECIAL バックナンバー書籍&雑誌案内に多くあり。
丸善:左上の検索窓にて、アナログ、CMOS などのキーワードが有効です。
日刊工業新聞:左上の検索窓にて、アナログ回路、電子回路 などのキーワードが有効です。
       私個人は伊藤健一さんの書籍をよく購入しました(詳細検索にて検索可)。
オーム社:左上の検索窓にて、半導体、LSI、アナログ などのキーワードが有効です。

GND,VSS の落とし穴

オームの法則合成抵抗をイメージで見てきましたが、ここでひとつおまけです。

電気回路の基準(イメージ図では電源の基準、つまりと表現している場所)についてです。

GND とか VSS とか呼ばれ、非常に安定していると思われがちですが、実際電気的にどのような状態なのかわかりません。これは、イメージ図で下と記述した場所が平らではなくでこぼこしているかもしれないということです。

ただし、ある場所の高さ(=電位)を基準として決めてしまえば、その他の場所の高さ(=電位))を表すことができます。これが電圧です。(標高海抜を基準として決められているのと同じ考え方です)電位差という表現もありますが、こちらのほうがイメージしやすいかもしれません。

GND, VSS は安定とは限らない

を頭の隅に置いておくと、実設計に役に立ちます。

パスコンとは?(1)

パスコンは「バイパスコンデンサ」「デカップリングコンデンサ」とも呼ばれ、電源の強化のために入れるコンデンサのことです。

パスコンがなぜ必要?は実際の電源を含めて考えます。実際の電源だけでは必要な電流を回路に送れないことがあります。
電流が足らないと、回路側で電圧が下がり誤動作します。電流が足らなくなる原因はおおざっぱに言って以下の3つです。

A)低周波数で必要な大きさの電流を送れない
B)高周波数で必要な大きさの電流を送れない
C)配線パターンが悪く寄生成分がついたため、電流が送れない

このために、以下の2つのパスコンを置きます。

A)に対応するために
電源の近辺に高周波数特性がよくないが、容量値は大きい(10uF以上)ケミコン

B)に対応するために
回路の直近に容量値は大きくないが(0.1uFあたり)、高周波特性のいいセラコン

また、電源や GND配線パターンはできるだけ太くシンプルに引き回しまわすことで C)に対応します。

パスコンとは?(2)

パスコンについて、イメージ的に説明すると以下のようになります。

電流=水流、電源=水を回路に送るポンプ に置き換えます(オームの法則を参照下さい)
ポンプと回路との距離が離れていることも珍しくありません
ポンプが水を送る能力には限界があります。この能力2つの要素に分けて考えると便利です。一つは時間(周波数)、もう一つは水の量(振幅)です。
・ポンプの能力として重要なのは以下の2つです。
 A)送るまでの時間がかかってもいいから多くの水を長い間送ってほしいとき
 B)すぐにある程度の水を送ってほしいとき

・超高性能のポンプを使うのは難しい(費用とか大きさとか)ので、代わりに水を蓄える容器(コンデンサ)を2つ置きます
ポンプ(電源)のそばに非常に大きい容器(ケミコン)を用意して A)に備えます。ポンプから水を送れない時は、大きい容器に蓄えた水を送るようにします。ただし、容器が大きいので多くの水を送れるようになるには時間がかかります
回路のすぐそばにも容器(セラコン)を置いて B)に備えます。 多くの水は送れませんが、回路のすぐそばにあるのですぐに水を送ることができます
・容器(パスコン)を用意しても、ポンプ(電源)、容器(パスコン)、回路をつなぐ水路 (配線パターン)が細かったり、曲がりくねったりしたら水は正常に回路に届きません水路はできるだけ太く、水(電荷)が通りやすいように作っておきます。

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なぜサイン波? → AC 解析・F特とは?(1)

書籍などではアナログ回路・設計といえばサイン波…となっていますが、そもそもアナログ信号の波の形に決まりはありません。なのに、なぜサイン波なのでしょうか?

この答えはフーリエ級数とかフーリエ変換と呼ばれる数学から来ています。フーリエ級数・変換自身はとても難しい(と私は感じます)ので、関係するところだけ抜き出すと、

・ある長さの時間(例えば0.2秒)を決め、その長さの時間にちょうど1個だけサイン波が入る周波数(1/0.2秒=5Hz)を基本周波数、基本周波数のサイン波を基本波と呼びます
・ある長さの時間(例えば0.2秒)の中に入るどんな波形も基本的に複数個のサイン波の足し算と同じになります(フーリエ級数ではサイン波とコサイン波ですが、コサイン波=90度位相が進んだサイン波ですので、すべてサイン波と表現しています)
複数のサイン波(sin(ωt+θ))角周波数ω、つまり周波数 f=1/2π/ω には、基本周波数の整数倍という決まりがあります
・基本周波数の整数倍した周波数を持つサイン波は高調波といいます。
・ある長さの時間を非常に長く(周波数を非常に小さく)してしまえば、どのような形の波形もあらゆる周波数のサイン波の足し算と同じ と言えてしまうことになります

ele3_19.jpg
といったところになるかと思います。

参考1:フーリエ級数 サイン・コサイン波による波形の生成プログラムあり
参考2:フーリエ変換 周期信号から非周期信号への移行プログラムあり
参考3:フーリエ級数 公式諸例

なぜサイン波? → AC 解析・F特とは?(2)

(1)ではフーリエ級数、フーリエ変換という数学によって、

あらゆる波形はあらゆる周波数のサイン波の足し算と同じ

と言ってもいいことが説明されていることを見ました。

実際の設計ではこの数学をさらに利用して、すべての波形を調べるという作業を以下の作業に置き換えます

1.ある周波数(例えば 200Hz)のサイン波を入力した時、回路が正常に動作するか確認する
2.他の周波数でも1.と同じ動作をするかどうかを確認する(通常、正常に動作してほしい周波数幅(例えば 10Hz~1MHz とか)が仕様にあります)

電子回路では入力信号をある大きさに拡大(増幅)できるかが重要ですので、2.の確認は、周波数と大きくなる割合増幅率やその時の位相のずれの確認で十分であることが多いです。周波数とこれらの関係は、設計ではシミュレーションのAC解析で、評価ではスペクトラムアナライザーなどで確認できます。得られたグラフは周波数特性(frequency characteristics)、略してF特と呼ばれるもののひとつになります。

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目標であったオペアンプの設計に6年かけて到達しました。ここからは応用的な内容を書ける限り書いていきたいと思います。

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