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容量とは?(1)

抵抗器の次は容量コンデンサ)に移ります。

容量コンデンサ)は意外とイメージしにくい素子です。試に、辞書で引いてみると、

静電容量キャパシタンス(どのくらい電荷が蓄えられるかを表す量))により電荷(電気エネルギー)を蓄えたり、放出したりする受動素子

となっています。実際これだけなのですが、インピーダンス Z=1/jωC あたりから見たくない素子になります。ここでは、イメージを重視した説明で容量を理解することに挑戦したいと思います。

まず、イメージをわかりやすくするために容量素子を以下のようなものに置き換えます。

ele3_1.jpg
オームの法則のときと同じく電流→水流に置き換えます。容量自体は水(=正電荷正孔ホールをためる容器2つになります。容器には水を出し入れするためのホースがついており、ホースには出し入れする水量(=電流量)を調整できるがついています。(実際にはこの弁は電源などが持っていますが、わかりやすくするためにここにつけます)容器にはどれだけ水がはいっているかを表す目盛がついており、単位はVです。これにより、

上側に入っている水量 → 容量にたまった電荷量
上側の目盛の値 → 容量の両端にかかっている電圧

を表すことになります。

なお、上下2つの調整弁にはある働きがあります。それは、上の弁がある水量を上の容器に入れる(出す)ときには、下の弁は同じ水量の水を下の容器から出す(入れる)ように調整するというものです。

あと容量値ですが、これは容器の長さになります。つまり、容量が大きい=容器が大きい、です。目盛の縮尺は変わりませんので注意してください。
ele3_2.jpg
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容量とは?(2)

(1)で見てきたイメージ図を使って、容量のいろいろな動作を見てみます。

まず、直流電源をつないだ時です。

始め、2つの容器の目盛が 0V の状態から 3V の直流電源をつないだとします。この場合、上の容器に水を入れて目盛の 3V のところまで水量を増やします下の容器については (1)で触れたとおり、同じ水量の水を出して -3V のところまで水量を減らします
ele3_3.jpg
ここで、上下の容器の間にはホースがないので水(=電流)は流れません。しかし、上下の調整弁の働き(上下のホースに同じ水量を流入・流出を逆にして流す)により、ホースだけに注目すると、あたかも上下のホースがつながってそこを水(=電流)が通っているように見えます。これを、容量に電流が流れると言います。
ele3_3_21.jpg

容量とは?(3)

次に一定の電流を容量に加え続けた場合です。

イメージでは、上の容器に一定の水量(=電流)を入れ(出し)続けた場合に相当します。この時、容器内の水量は徐々に増えて(減って)いく、つまり容量の両端にかかる電圧は徐々に増えて(減って)いきます。これを、横軸を時間としたグラフにすると以下のようになります。
ele3_4.jpg
ここで、容器に入れる水量(=電流)は変えずに、容器の大きさ(=容量値)を2倍、半分にしたとき、上のグラフはどうなるか?を考えます。目盛の位置は変わりませんから、入れる水量を変えないならば、容器内の水の増え方は逆に半分、2倍になります。グラフ上は電圧 V の傾きが半分、2倍になります

ele3_5.jpg
もうひとつ、容器の大きさ(=容量値)を2倍、半分しても、容器の水量の増え方(=電圧の変化)は変えずにしたい場合、
上のグラフはどうなるか?
を考えます。これを行うには、入れる水量(=電流量)を変えるしかありません。容器の大きさ(=容量値)が2倍、半分になるなら、入れる水量(=電流量)も2倍、半分とします。グラフ上は電流 I の値が2倍、半分になります。電流一定のときと逆の関係になりますので注意してください。

ele3_6.jpg

容量とは?(4)

ここまでは、直流電圧直流電流を考えました。次にいよいよ交流電圧交流電流に移ります。といっても(3)での内容を応用するだけで交流信号に対応できます。

交流信号といえばサイン波正弦波)ですが、曲線ではわかりづらいので三角波から始めたいと思います。
ele3_7.jpg
容量の両端に上に示した三角波と呼ばれる形の交流電圧がかかったとします。このとき、容量に流れる電流はどのようになるでしょうか?

三角波は、以下に示す青と赤の領域が交互に登場する波形となっています。さらに、青、赤それぞれの領域を見ると、「一定の電流を加え続けた場合」で出てきた電圧波形と同じです。従って、容量に流れる電流は「一定の電流を加え続けた場合」の電流波形を並べたものになります。
ele3_8.jpg

容量とは?(5)

さて、サイン波三角波に置き換えましたが、さすがにやりすぎ感があります。そこで、もうちょっとサイン波近づけるために、
直線の傾きの種類を4種類に増やしてみます傾きと電流の関係に注意して並べれば電流波形が得られます。
ele3_9.jpg
さらに傾きの種類を6つにしてみます
ele3_10.jpg
さらに傾きの種類を…と細かくしていけば電圧がサイン波正弦波のときの電流波形が得られます。6つのときから予想できるように、

電流波形は電圧の位相より90度進んだコサイン波

になります(ただし、電圧と電流の振幅は同じではありません)。
ele3_11.jpg

容量とは?(6)

先回、容量の両端に加える(印加するといいます)電圧がサイン波であるときの電流波形はコサイン波(位相が90度進む)になることを見ました。

次に、

印加する電圧波形(サイン波)を変えずに、容量値を2倍、半分にすると
流れる電流の大きさ(振幅)がどうなるか?


を考えます。

サイン波を直線(三角波など)で置き換えれば、この問題は「電圧一定で容量値を変えた場合」と同じになります。ということで、電流の振幅も2倍、半分になります。(容量値と電流の振幅は比例の関係です)

ele3_12.jpg

なお、この問題はCMOSアナログ回路によく見られる

寄生容量が大きいとそこに流れる電流が大きくなり、回路の周波数特性が悪化する

という現象につながります。

容量とは?(7)

もう一つ重要な問題に、容量値と印加する電圧の振幅は変えずに、サイン波電圧の周波数だけを2倍、半分にしたとき容量を流れる電流の大きさ(振幅)がどうなるか考えます。

周波数を2倍、半分にするということはある時間に含まれる波の数を2倍、半分にするということです。これを直線で考えるならば、三角の直線の傾きを2倍、半分にすることと同じになります。したがって、電流の振幅も2倍、半分になります。(周波数と電流の振幅は比例の関係です)
ele3_13.jpg

この性質は回路の周波数特性を考える上での基本になります。

容量とは?(8)

これまで数回にわたり、

交流電圧を容量に印加したとき、容量に流れる電流について3つの重要な性質

を見てきました。ここでまとめて再掲します。

1.サイン波電圧を容量に印加した場合、流れる電流波形はコサイン波になりますつまり、電流波形の位相は電圧波形の位相より90度進みます

2.容量に印加するサイン波電圧を変えないで、容量値を2倍、半分にすると、流れる電流の振幅も2倍、半分になります(容量値と電流の振幅は比例の関係)

3.容量値と容量に印加するサイン波電圧の振幅を変えないで、電圧の周波数を2倍、半分にすると、流れる電流の振幅も2倍、半分になります(電圧の周波数と電流の振幅は比例の関係)

容量とは?(9)

最後に、インピーダンス Z=1/jωC に登場してもらいましょう。

インピーダンスは、おおざっぱに言って、 位相のずれも表現できるようにした抵抗値のことです。 抵抗値ですから、オームの法則 E=IR ならぬ E=IZ が成り立ちます。 (位相のずれを表現できない普通の抵抗値 R と区別するためにインピーダンスは Z を使います) つまり、容量についてのオームの法則は E=I/jωC となるわけです。 これだと分かりにくいので I=jωCE と書き直してみると、 この式 I=jωCE が表している電流 I と電圧 E との関係は、

電流の位相が電圧の位相より90度進むことを表します
  (このjはj2=-1 である虚数のことです。電流をiと表記するためjを使います)

ω角周波数 ω は周波数 f との間に ω=2πf の関係があります
 つまり、周波数 f と電流の振幅は比例の関係であることを表します

C容量値 C と電流の振幅は比例の関係であることを表します

であり、(8)で見た3つの性質とつながります。

インピーダンスも抵抗値のようなものと書きましたが、 これは容量を抵抗のように表せることを意味します。 インピーダンスは位相のずれを j だけで表しますので、 容量を抵抗と見なしたときの抵抗値は残りの 1/ωC=1/2πfC となります。 抵抗器と違い、抵抗値が容量の両端にかかる交流信号の周波数に反比例します。

例を挙げますと、容量値を C=1μF=10-6F, 交流信号の周波数を 10kHz とした場合、 容量は交流信号から見ると 1/2/3.14/10-6F/104Hz=15.92Ωの抵抗のように見える ことになります。
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目標であったオペアンプの設計に6年かけて到達しました。ここからは応用的な内容を書ける限り書いていきたいと思います。

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