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PN接合とは?(1)

不純物半導体にはP型半導体とN型半導体があることを説明しました。

次のステップはこのP型半導体とN型半導体をくっつけるとどうなるか?です。

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ここで重要になる考え方が、キャリアの拡散です。

拡散はイメージしやすい現象の1つです。例えば、仕切りのある2つの容器に色のついた水(赤と青)をそれぞれ入れ、仕切りはずすとどうなるかを考えます。赤色の水が入っていた方には青の水が広がってきますし、青の水の方には赤の水が広がってきます。このように粒子などが濃度の濃い方から薄い方に広がる現象拡散です。ちなみに、さきほどの赤と青の水は拡散によって、いずれはすべての場所が紫色になります。

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PN接合とは?(2)

さて、話を戻します。
P型半導体とN型半導体をくっつけた場合、赤・青の水と同じように、電子・正孔のキャリアが濃度の薄い方に拡散します。ただ、水の時と違う現象があります。

正孔は電子のない場所のことなので、電子と正孔が出会ってくっつくとそこにはなにもなくなってしまう

この現象を再結合と言います。先ほどの水の例えで言えば、赤と青の水が混ざったら透明になった!という感じでしょうか。

P型半導体とN型半導体をくっつけると、くっつけた場所(接合部といいます)近辺でキャリアの拡散と再結合がおこります。これにより、接合部近辺にはキャリア(電子・正孔)がなく、固定電荷だけの領域ができます。この領域を空乏層といいます。
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ここで空乏層を見てみると、N型半導体だったところは+の固定電荷のみが、P型半導体だったところには-の固定電荷のみが残っています。これは、空乏層があたかも電源のようになっていることを示しています。なお、ある幅まで広がった空乏層内にできた電源のようなもの(正確には空乏層領域内の電界により発生した電位差)のことを、内蔵電位(ビルトインポテンシャル)とか拡散電位といい、シリコンでは 0.6V~0.7V です。

PN接合とは?(3)

さて、この空乏層ができるとキャリアの拡散はどうなるでしょうか?

結論から言うと、再結合の結果、空乏層がある幅まで広がり、内部で内蔵電位に達すると、キャリアの拡散がとまります

この現象のイメージはこんな感じです。(ここからの説明は他の説明との相関をとるために、バンド理論と上下さかさまになります。ご注意ください)

仮に、正孔を白い玉、電子を黒い玉、固定電荷を杭としましょう。(白が+、黒が-、球がキャリア、杭が固定電荷です)この2色の玉は、

 仲間のいないところに広がろうとします(拡散)
 白と黒の玉がぶつかると、両方消えてなくなります(再結合)


という性質があり、さらに、

 白い玉はある高さ以上の坂を上ることができません(下るのはOK)
 黒い玉はある高さ以上の坂を下ることができません(上るのはOK)

という特徴があります。こうすると、

 P型半導体は白い玉と黒い杭の領域
 N型半導体は黒い玉と白い杭の領域

となります。

P型とN型半導体をくっつけると、くっつけた部分(接合部)の近くの白黒の玉から移動し(拡散)、ぶつかって消滅します(再結合)。そうすると、白黒の杭だけの領域(空乏層)になります。ここで、杭だけになった(電荷がかたよった)状態になるため、白い杭(+の固定電荷)の領域のほうの高さ(電位)が高くなります。これらの現象が続き、ある高さまでN型半導体の高さが高くなったところで、白黒の玉が移動できなくなります(拡散が止まる)。このときの高さが内蔵電位で、この状態になると、P型、N型半導体ともに安定します。

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PN接合とは?(4)

話をさらに進めます。

PN接合の結果、内蔵電位が発生して、拡散が止まり安定するところまで見てきました。これだけではなにも起こりませんので、次に両側に電源をつけたときの動きを見てみます。電源には向きがあるため、接続方法が2種類存在します。順方向バイアス逆方向バイアスと呼ばれています。
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(1)順方向バイアス
P型半導体に電源の+側を付ける向き順方向バイアスといいます。オームの法則(1)にて見たとおり、電源の+側の側は高くなるイメージです。よって、今回はP型半導体の高さが上がります。これにより、内蔵電位が減少し、空乏層の幅が狭くなる形となるため、止まっていたキャリアが拡散し始めます

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PN接合とは?(5)

順方向バイアスの続きです。

電源の電圧が小さい場合、P型とN型の高さはまだ残っていますので、キャリアの拡散量はそれほど多くなく、空乏層もあります。従って、正孔と電子は空乏層内で再結合します。再結合によって減ったキャリアは電源から補充されますので、(キャリア(=正孔・電子)を回路に供給する能力をもつものが電源なので)遠くから見るとPN接合間に電流が流れているように見えます。(キャリア(=正孔・電子)がある一方向に移動する現象が電流なので)この時の電流は再結合電流と呼ばれています。

電源の電圧が大きくなり、内蔵電位に近くなると、P型とN型の高さがほぼ同じになり、空乏層もほぼなくなることで、多量のキャリアが拡散し始めます。このことは、キャリアが反対側の領域に拡散し、そこで再結合することを示しています。このときの電流は拡散電流と呼ばれています。拡散電流は、先ほどの再結合電流よりもちろん多くなります。

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さらに電圧を上げると、拡散を止めるものがないため、拡散電流は飛躍的に増えていきます。理論的にはどこまでも電流量が増えることになりますが、現実には寄生抵抗成分などにより頭打ちになります。

以上の結果を横軸に電源電圧、縦軸に電流としたグラフで記載すると以下のようになります。縦軸を対数表記にすると、上記3つの領域がはっきり分かれます。

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なお、バンドギャップレファレンス回路で使われるダイオード電流の式(図に記載した式)は拡散電流のものです。

PN接合とは?(6)

(2)逆方向バイアス
N型半導体に電源の+側を付ける向き逆方向バイアスといいます。今回はN型半導体の高さが上がり、内蔵電位が増加します。また、電源から少数キャリアがP型・N型半導体に送り込まれる(注入される)ため、再結合が起こり空乏層の幅が広がります。もちろん、接合部方向に多数キャリアは拡散できません。ただし、PN接合に流れる電流は微量ながら電流が存在します。少数キャリアの接合部方向への拡散電流や漏れ電流があるためです。

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なお、逆方向バイアスで電圧を上げていくとあるところ(降伏電圧といいます)で電流が急激に増えます。この現象を降伏と言います。この現象を使って定電圧を実現する素子ツェナーダイオードです。

PN接合とは?(7)

最後に、CMOSアナログ回路において重要な空乏層の性質を見ていきます。

実は、MOSトランジスタは逆方向バイアスのPN接合だらけです。(詳しくは 2次効果とは?(3) を参照ください)。

逆方向バイアスですので幅広の空乏層があります。(3)で説明したように、空乏層には固定電荷が存在します。この固定電荷の極性とかけている電極の向きを見ると、実は、容量と形になっていることに気づきます(容量とは(1)参照)。

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つまり、空乏層は容量空乏層容量といいます)として機能するわけです。

CMOSアナログ回路の周波数特性を決める容量の1つがこの空乏層容量になります。

PN接合とは?(8)

最後に、今回参考させてもらった半導体物性のHPを紹介します。みなさんのご協力に感謝いたします。

立命館大学講義資料
半導体工学(1)   半導体工学(2)   半導体工学(3)
半導体工学(4)   半導体工学(5)   半導体工学(6)
半導体工学(7)   半導体工学(8)   半導体工学(9)
半導体工学(10)  半導体工学(11)  半導体工学(12)
半導体工学(13)  半導体工学(14)

山形大学資料
PN接合ダイオード

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目標であったオペアンプの設計に6年かけて到達しました。ここからは応用的な内容を書ける限り書いていきたいと思います。

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