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アナログ回路の基礎(1)

ここから、CMOSアナログ回路に入っていきます。

まず、そもそもアナログとは?から見ていきます。Wikipedia を見ると、

アナログは、連続した量(情報)を他の連続した量(電圧・電流など)で表示すること

とあり、アナログとよく対比されるデジタルを同じく Wikipedia で見ると、

デジタルは、状態を示す量を離散化(連続した量を一定の間隔ごとに表現(サンプリングと言います)する事)、量子化(基本単位の整数倍で表現する事)して処理を行う方式

となっています。つまり、アナログは自然界に存在するそのままの形で表現する事、(アナログの場合、なぜサイン波で記述するのかについては、なぜサイン波?を参照ください)デジタルは処理しやすいように時間軸も電圧(電流)軸も簡略化して表現する事となります。例として、振幅が10のサイン波をアナログとデジタルで表現すると以下のようになります。

ele9_1.jpg

デジタルではさらに2進法を使って、量子化した情報を0と1で表現します。
電子回路では0をVSS, 1を VDD に割り当てます
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アナログ回路の基礎(2)

次に、アナログ回路とは?です。

電気信号としてアナログ信号とデジタル信号があることを見ました。
回路には入力信号と出力信号があるため、それだけで回路の種類が4つできます。
結論から言うと、

入力も出力もデジタル信号の時だけがデジタル回路であとはアナログ回路

となります。

ele9_2.jpg

入力がアナログで出力がデジタルの代表が ADC(Analog to Digital Converter)、
入力がデジタルで出力がアナログの代表が DAC(Digital to Analog Converter)です。

アナログ回路の基礎(3)

さらに進みます。
今度はアナログ回路の理論の基本となる考え方です。

アナログ回路が処理するアナログ信号(電圧、電流)ですが、時間によらず値が変わらない
直流成分(DC)と呼ばれるものと時間とともに値が変わる交流成分(AC)と呼ばれるものに
分けて考えることができます。なお、直流成分はバイアスと呼ばれることもあります。

ele9_3.jpg

アナログ信号を直流成分と交流成分に分けることにより、回路特性を理解する方法も
2つに分かれます。

(1)直流成分と交流成分を区別せずに考える
 要するに、ある入力電圧に対してどのような出力電圧になるか?をそのまま
検討する方法です。理論計算は MOSトランジスタの動作(9)(10)に登場した
数式を使って計算します。教科書では大信号解析と呼ばれることもあります。
シミュレーションでは DC 解析がこれに該当します。

アナログ回路の基礎(4)

(2)直流成分と交流成分を区別して考える
 CMOS アナログ回路を設計する上で避けて通れない小信号解析
シミュレーションの AC 解析はこちらになります。

 順を追って詳細に見ていきます。

 まず、入力信号を直流成分と交流成分に分けたとして、
回路の出力はどのように考えたらいいのだろうか?という疑問が出てきます。
これの答えとなるのが、重ね合わせの原理です。重ね合わせの原理を使うと、

入力信号を直流成分と交流成分に分けた場合、
入力信号がそれぞれのみの場合の回路の出力信号を考え、
それらを足し合わせたもの最終的な回路の出力信号となる

となります。要するに、

直流成分と交流成分を別々に考えて、最後に足し合わせればいい

ということです。この性質により、アナログ回路設計は直流成分の設計と
交流成分の設計に分かれることになります。

ele9_4.jpg

アナログ回路の基礎(5)

(2)直流成分と交流成分を区別して考える の続きです。

直流成分の設計はバイアス設計とも呼ばれ、交流成分がない=無信号の時の回路設計となります。この設計を間違えると、一般的にアナログ信号と呼ばれる交流成分の入出力が
正常にできなくなります(クリップにより変形するなど)。

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なお、バイアス設計では、基準電圧と呼ばれる直流電圧が必要になることがほとんどです。電源電圧が対称な正負電源(±3Vのような)の場合は、基準電圧は真ん中の0Vにしますが、電源が1つしかない単電源の場合は、基準電圧を電源電圧の半分の電圧(電源が 5V なら基準電圧は 2.5V)にしたり、バンドギャップレファレンス回路出力の~1.2Vにしたりします。

ele9_6.jpg

このようにICによって基準電圧が違うため、違うICをそのまま接続できない可能性があります。この場合、2つの回路の間に容量を挟みます。容量は直流成分を通しませんが、交流成分は通すため、基準電圧が違っていても、交流成分=アナログ信号を確実に渡すことができます。

ele9_7.jpg

アナログ回路の基礎(6)

(2)直流成分と交流成分を区別して考える の最後です。

次に、交流成分の設計です。私たちがアナログ設計と呼ぶものの大部分はここになります。
CMOS アナログ回路の場合、アナログ設計=増幅回路(オペアンプとは?(1))の設計と
考えてもよいため、通常入力信号は数 mV と小さな電圧です。
この入力信号が小さいという条件を入れると、複雑なMOSの電流特性(MOSトランジスタの動作(9) (10)を簡単なモデルに置き換えることができます(実際の小信号等価回路(4))。
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この簡単なモデルを使って、回路を解析することを小信号解析、解析に使う回路を小信号等価回路と呼びます。小信号等価回路は交流成分のみの(直流成分がない)ため、初めて見るとわけのわからないものに見えます(少なくとも私はそうでした)。

これから、順を追ってCMOSアナログ回路の基本である小信号解析についてみていきます。

アナログ回路の基礎(7)

最後に、回路を理解する際に登場する入力インピーダンス出力インピーダンスについて触れます。

(1)入力インピーダンス
 回路が入力信号を受ける際、回路側が持っている抵抗成分のことです。
抵抗成分の値は、回路を入力側から見たとき、対 GND(正確にはDC 電圧固定とみなせる端子=接地点に接続されていると考えられる抵抗成分の総和になります。

例えば、反転増幅回路の入力インピーダンスは、入力端子に接続されている抵抗値そのもの(オペアンプの入力は仮想接地=DC 電圧固定とみなせる)となりますし、非反転増幅回路の入力インピーダンスは、入力端子が MOS のゲート端子に接続されている(=抵抗成分はなく、微小な容量成分しか見えない)ので高抵抗(>1MΩ)になります。

ele9_9.jpg

なお、上図の理想増幅器ですが、入力された信号の振幅を理論計算通りに変化(=増幅)させることができる回路という意味で使用しています。

アナログ回路の基礎(8)

(2)出力インピーダンス
 入力インピーダンスとは逆に、回路で外部に電圧を出力する時、回路側が持っている抵抗成分のことです。抵抗成分の値は、出力端子から回路を見たときに見える抵抗成分の総和になります。

 出力インピーダンスは抵抗成分の表記が見かけどこにもないことが多く、入力インピーダンスよりイメージしにくいものです。そこで、実際の測定方法を通して説明します。

 まず、回路の出力端子に抵抗や回路を何もつけない状態(=無負荷)での出力端子の電圧振幅を測定します(例えば 1.2V とします)。次に、抵抗の値が分かっている抵抗器(例えば 1kΩとします)を出力端子とGNDの間に挿入して再び出力端子の電圧振幅を測定します。回路が出力することのできる電流量は無限ではないため(回路の出力できる電流量は駆動電流駆動能力という用語で定義されています)、抵抗器を接続した場合の出力端子の電圧振幅は無負荷のときより小さくなります(例えば 1V になったとします)。

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この現象を説明するために、以下のような考え方を導入します。

回路には 1.2V の理想電圧源があり、1.2V を出力する能力を持っているが、理想電圧源と出力端子の間に 200Ωの抵抗成分が挟まっており、1kΩの抵抗を負荷として接続すると、出力端子の電圧は 1kΩとの分圧により 1V になってしまう。

ele9_11.jpg

ここで登場した 200Ωの抵抗成分が出力インピーダンスです。

なお、上記の理想電圧源ですが、どのような状況に置かれても振幅を理論値通りに出力できる回路のことです。

アナログ回路の基礎(9)

この入力インピーダンス、出力インピーダンスを定義すると、回路の入出力電圧を正確に
検討することができます
。下図に示した通り2つの回路を接続する際、前段回路の出力
電圧は前段回路の出力インピーダンスと後段回路の入力インピーダンスによって
分圧される
ことになります。

これにより、出力電圧をできるだけ正確に(=小さくなることなく)後段回路に渡すためには、

出力インピーダンスはできるだけ小さく
入力インピーダンスはできるだけ大きく


する必要があります。

ele9_12.jpg
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目標であったオペアンプの設計に6年かけて到達しました。ここからは応用的な内容を書ける限り書いていきたいと思います。

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