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gmとは?(1)

ここから小信号等価回路について見ていきます。

MOSトランジスタの動作(9)(10)(14)で、MOS トランジスタの電流特性が以下のグラフになることを見てきました。
ele9_13.jpg
しかし、上のグラフはすべて“曲線“であるため、計算をしようとすると非常に複雑になります。そこで、アナログ回路の基礎(6)で説明したように、入力信号は小さいとの条件を入れて、かつ、直流成分を分離することにより、すべて”直線“で近似できる(オームの法則と同じ形にできる)としてしまいます。

その流れを順に追っていきます。
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gmとは?(2)

gm とは?

NMOS トランジスタでゲート電圧 Vgs を変えたときに得られたグラフを考えます。
ここで、ドレイン電圧は固定電圧(ここでは仮に3V とします)とします。
ele9_14.jpg
Vgs がしきい値電圧 Vth 以上であるとして、
「Vgs は非常に小さい範囲の信号だけを考える」
との条件を入れます。この場合、上記のグラフはどうなるでしょうか? 
例として、Vgs は 2V±0.01V の範囲だけ考えた場合を見てみます。
(MOSトランジスタの動作(9)で触れたとおり、アナログ設計では飽和領域にて
MOSトランジスタを使用します)

ele9_15.jpg

このように Vgs を 2V±0.01V の範囲に限定すると、グラフはほとんど直線に見えます。
このとき、この直線の傾きをトランスコンダクタンスと言い、gm(ジーエムと読みます)
という記号で表します。

ele9_16.jpg

上の例では gm は 0.001 と計算できます。なお、単位は“S(ジーメンス)”です。
また上の式を変形すると、ΔIds = gm×ΔVgs という式が得られます。
ちなみに、この式は ΔVgs=1/ gm×ΔIds と書くとオームの法則 E=RI と同じ形です。
直流成分(2Vと48uAを分離したグラフにするとイメージしやすいかもしれません。

ele9_17.jpg

gmとは?(3)

次に、この gm を使って Vgs が 2V±0.01V の範囲でのトランジスタの動作を表すことを考えます。

まず gmとは?(2)のグラフから、Vgs = 2V の状態では NMOS トランジスタの電圧、電流は以下のようになっています。

ele9_18.jpg

次に、例えば Vgs = 1.99V , Vgs = 2.01V の時は以下の通りです。

ele9_19.jpg

この Vgs = 1.99V ,Vgs = 2.01V の時の Ids“Vgs = 2V から変化した“という形で書き直す(つまりVgs = 2V を直流成分とする)と、電流源を使って以下のように表すことができます。なお、電流値がマイナスというのは、実際の電流の向きが矢印の方向と逆ということを表しています。

ele9_20.jpg

gmとは?(4)

gm のお話を続けます。

Ids の変化量を表す ΔIds は Vgs が変化したために発生しているので、 Vgs の変化量を
ΔVgs と表記し、以下に示す形の記号を用いて、ΔVgs により ΔIds が発生していることを強調します。

こうするとグラフから得られた gm を使うことができ、また ΔIds = gm ×ΔVgs という式をそのまま使うことができます。

ele9_21.jpg

さて前の図で、以下の構造は2つとも同じです。

ele9_22.jpg

つまり、この部分は直流成分ということになるので、前の図から分離=省略します。
アナログ回路の基礎(4)参照ください)
すると、Vgs = 1.99V , Vgs = 2.01V の時の回路として以下の部分(交流成分)が残ります

ele9_23.jpg

ここで残った回路は小信号等価回路のうちで Vgs-Ids 特性に関する部分ということになります。この小信号等価回路は Vgs が 2V±0.01V の範囲にあればどの値の ΔVgs でも同じ形のものが得られます。つまり、一般的に以下のように表すことができます。

ele9_24.jpg

なお、Vgs= 1V や Vgs = 2.5V の時でも gm を求めるところから始めれば、まったく同じ形の小信号等価回路を得ることができます。

gmとは?(5)

また、PMOS トランジスタの場合でも小信号等価回路はまったく同じ形です。

ただし、ΔVgs, ΔIds の符号の向きが NMOS トランジスタの時とさかさま
あるところだけが違います。
(NMOS トランジスタの時と同じ方法で以下の小信号等価回路を導き出せます)

ele9_25.jpg

ele9_26.jpg

gmとは?(6)

最後にgm と W, L, Ids との関係を見ていきます。

gm は数学的には Ids の Vgs による偏微分(=グラフ上の接線、傾き)になるため、
MOSトランジスタの動作(10)の式を使うと以下のように表せます。

ele9_27.jpg

つまり、

W に比例
Lに反比例
Ids には平方根に比例

となります。

W や L の関係は Ids との関係と基本的に同じ(Ids が増減すれば、グラフの傾きである gm も同じように増減する)です。W, L, Vgs を固定して、Ids のみを増減(ドレインに流す電流量を変える)する場合も平方根がつきますが、イメージは同じです。
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目標であったオペアンプの設計に6年かけて到達しました。ここからは応用的な内容を書ける限り書いていきたいと思います。

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