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ソースフォロア(1)

ソースフォロア

 次の回路として、ソース接地回路の入力トランジスタの極性(NMOS と PMOS)をひっくり返した回路を考えます。この場合、入力トランジスタのドレイン端子が電源につながるため、ドレイン接地回路ということになります。ただ、動作原理からソースフォロアと呼ばれることが多いです。ソースフォロアは NMOS トランジスタでも PMOS トランジスタでも作ることができ、カレントミラーを使うこともできます。

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ソースフォロア(2)

(1)ソースフォロアの動作原理

 入力トランジスタがNMOS トランジスタ、抵抗負荷のソースフォロアを使って、ソースフォロアの動作原理を考えてみます(ほかの種類のものも同じです)。

 この回路の動作原理のカギは、入力トランジスタの Vgs の位置です。ソース端子が出力端子なため、入出力端子間が Vgs の位置になります。

 さて動作原理ですが、もし出力電圧が下がり、入出力間電圧がある値より大きくなったとすると、入力トランジスタの Vgs が大きくなり、Ids が増加することで出力電圧が上がります。
 逆に出力電圧が上がり、入出力間電圧がある値より小さくなったとすると、入力トランジスタのVgs が小さくなり、Ids が減少することで出力電圧が下がります。

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ソースフォロア(3)

つまり、入力トランジスタの Vgs がある一定の値(Ids と抵抗のバランスがつりあうところ)になるように出力電圧が変化します。出力電圧がまるで入力電圧を追いかけるようだということで、ソースフォロア(Source(ソースで) Follower(入力を追いかけるもの)という名前がついています。なお、ソース接地回路と違い、入力電圧と出力電圧の位相が同じ形です。このような関係は同相といいます。(ソース接地回路は逆相です(ソース接地回路(4)

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ソースフォロア(4)

さて、この回路で大切なのが基板効果2次効果とは?(3))です。

ソース接地回路は基板端子が自然と電源電圧になるので基板効果は考えませんが、
ソースフォロアの場合、基板端子を電源電圧につなぐと基板効果が発生します。
(特に NMOS を使った場合、基板端子を出力電圧につなぐためにはトリプルウェルと
いう特別な構造がいるため、通常基板効果が発生する構造となります)。

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ソースフォロア(5)

 基板効果はソース端子と基板端子の電圧差に応じて、しきい値電圧 Vth の値が変化するというものです。ソースフォロアのようにソース端子=出力端子が変化する場合、出力電圧の値に応じて入力トランジスタの Vth が変化することになります。

これは、出力電圧が大きく歪む(ソース接地回路(5) )ことにつながります。

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ソースフォロア(6)

このソースフォロアですが、用途は大きく言ってレベルシフトと出力インピーダンス変換の2つです。

 まず、レベルシフトです。入力信号が電源電圧に近く(さらに言えば若干超えていて)、通常の回路で処理するのが困難なときにソースフォロアが役に立ちます(ただし、出力が歪んでも影響がない場合に限ります)。7中心電圧 VDD/2 に向かって出力信号が Vgs だけ移動(=シフト)する特性を利用して、次の回路が処理できるレベルまで電圧をシフトさせることができます。

 もうひとつの出力インピーダンス変換ですが、出力インピンダンスは低い(=値が小さい)ほうがいいことは説明しました(アナログ回路の基礎(9))。ソース接地回路は増幅ができますが、欠点の一つに出力インピーダンスが高い(数百kΩ)ことが挙げられます(ソース接地回路(38)の8))。これに対し、ソースフォロアの出力インピーダンスは1/gm~数kΩと非常に低くなります。そこで、ソース接地回路の後にソースフォロアを接続することで、回路全体の出力インピーダンスをざっくり2桁下げることができます。

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ソースフォロア(7)

(2)小信号等価回路による解析

次に、ソースフォロアの小信号等価回路を見てみます。
ソース接地回路と同じ手順(ソース接地回路(7)(8))で小信号等価回路を導いていきます。

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得られた小信号等価回路は、ソース接地回路のそれ(ソース接地回路(10))と電流源の向きが違うだけであることがわかります。

ここから増幅率 Avを計算すると、やはりほぼ1との結果が得られます。

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より正確には増幅率は1より若干小さく、合成抵抗が大きいほど1に近づくことになります。

ソースフォロア(8)

(3)周波数特性(F特)

 前段回路の出力インピーダンスを考慮した場合(ソース接地回路(31))、ソース接地回路と同じく極が2つ(入力端子と出力端子に一つずつ)、ゼロ点が1つあるとの結果が得られます。
極の周波数は計算することが難しいですが、前段回路の出力インピーダンスと出力端子につく負荷容量の大きさによる影響が大きいと考えられます。

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ゼロ点はソース接地回路と同じ Cgd によるものです(周波数の計算も同じです)。
ただ、Cgd経由の電流が RL に流れてできる電圧(=ゼロ点の成分)と gm 経由の電流が RL に流れてできる電圧(=低周波の出力電圧)の向きが同じなため、ゼロ点の周波数以降の位相は 90°進みます
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ソースフォロア(9)

前回の内容をもとに、AC 解析の結果を見てみます。

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DCゲインはほぼ1の~0dBです。位相は同相なため 0°からのスタートです。
2つの極の挙動はソース接地回路のものと同じです。
ゼロ点付近から位相が戻り-90°へ移行しているのは、ゼロ点以降90°位相が進む
影響によるものです。

ソースフォロア(10)

(8)ソースフォロアのまとめ

最後にソースフォロアをまとめます。

1)入力周波数が十分低い場合の増幅率であるDCゲインは、ほぼ1です。負荷抵抗としてカレントミラーを使うとより1に近くなります。

2)通常に回路を組むと基板効果の影響がでます。基板効果がある場合、Vth が変化するため、出力電圧がより歪みます。

3)ソースフォロアの用途はレベルシフトと出力インピーダンス変換です。

4)周波数特性は極が2つとゼロ点が1つです。ゼロ点で位相が90°進む点がソース接地回路との大きな違いです。
いま何時かにゃ~
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目標であったオペアンプの設計に6年かけて到達しました。ここからは応用的な内容を書ける限り書いていきたいと思います。

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