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ノイズ(21)

前置きが長くなってしまいましたが、ゲート接地回路の入力換算雑音電流を計算
していきます。なお、計算を容易にするために入力トランジスタ(M1)のドレイン抵抗を
無視します。

まず、入力トランジスタ(M1)からです。入力を開放した場合、入力トランジスタで
発生した雑音電流はトランジスタ本体を流れるしかないため、結局入力トランジ
スタ内をループする形になります(ノイズ(24)に詳細を記述します)。
電圧が定まったところに雑音電流が流れないため、入力換算雑音電流を計算
する際には出力電圧は発生しないということになります。
この結論は、カスコード接続の雑音計算にとても重要なものです。

ele10_138.jpg

次にカレントミラートランジスタ(M2)です。入力トランジスタ(M1)と同じく、
電流源の式を用いると、入力が開放なので、M2 のドレイン抵抗にすべて
流れることがわかります。ドレイン抵抗の片側は接地されているため、
今度は出力電圧が発生します。

ele10_139.jpg

ノイズ(22)

これにより、ゲート接地回路の入力換算雑音電流計算用の出力雑音電圧は
これら2つの成分の2乗平均になります。
ele10_140.jpg

最後に、今計算した出力雑音電圧から入力換算雑音電流を計算します。
入力換算雑音電流を考えた場合、その電流はすべてカレントミラートラン
ジスタ(M2)のドレイン抵抗に流れて出力雑音電圧となります。
つまり、出力雑音電圧をドレイン抵抗 rdp (の2乗)で割ることで
入力換算雑音電流が求められます。

ele10_141.jpg

ノイズ(23)

(参考)ソース接地回路とソースフォロアは入力換算雑音電流を計算しなくてもいいのか?

ゲート接地回路では入力換算雑音電流を計算する必要がありましたが、ソース接地回路や
ソースフォロアでは計算しなくてもいいのでしょうか?実際に計算して確認してみます。
計算方法が同じなので、ソース接地回路の入力換算雑音電流の計算で確認してみます。

ゲート接地回路の時と同じく入力端子であるゲート端子を開放し、入力換算雑音電流を
回路に加えます。入力換算雑音電流が流れる経路を確保できるよう、ゲート端子に入力
容量 Cin も追加します(Av は回路の増幅率です)。

ele10_142.jpg

出力雑音電圧は入力換算雑音電圧からの計算でも入力換算雑音電流からの計算でも
同じ値になることを使うと、Vnin2=(Inin/ωCin)2 が得られます。ω=2πf, Cin~数百fFから
数pFであることを使うと、入力換算雑音電圧と入力換算雑音電流の影響度が同じに
なるのは、ωCin~1 つまり、f>1010Hz=10GHz となります。
結局、低周波(ざっくりいって100MHz 以下)では、入力換算雑音電流は無視していい
ということになります。

ノイズ(24)

(参考2)ゲート接地回路で入力を開放した場合、入力トランジスタで発生した雑音電流は
本当にトランジスタ本体に流れるのか?


 ノイズ(21)で、入力を開放した場合入力トランジスタで発生した雑音電流は
トランジスタ本体を流れるしかないと説明しましたが、この説明は正しいのでしょうか?
より正確な計算で確認してみます。
 ノイズ(21)で無視したドレイン抵抗 rdn と入力端子に接続されたインピーダンス Zin
(ゲート接地回路単体なら入力容量、カスコード接続なら下に接続されるドレイン抵抗)の
2つを追加して、流れる電流を求める式を立てます。
ele10_143.jpg
この式を解くと、
ele10_144.jpg
となります。

ゲート接地回路単体を考えた場合、Zin が入力容量 Cin になります。
Cin~0.1pF として計算すると、f~2MHz まではZin>rdp, rdn
gmn×rdn (=ゲート接地回路の増幅率)が約50より、i1:i2:i3~50:1:0 となります。
f~100MHz で i1:i2:i3~1:1:1 とやっと他の成分に電流が流れる状況となります。

カスコード接続を想定した場合、rdn, rdp, Zin がほぼ同じ値であること、gmn×rdn
が約50であることから、i1:i2:i3~50:2:1 となります。
これは入力トランジスタに約95% 流れていることになるため、他の電流は無視
できるといえます。また、rdn に流れる電流(i2), rdp に流れる電流(i3) により
出力端子Vout に発生する雑音電圧は、カレントミラートランジスタ(M2)から
発生する電圧(ノイズ(21))の100分の1以下といっていいレベルです
(ドレイン抵抗値がほぼ同じで流れる電流が10分の1以下。さらに雑音計算は
最後に2乗平均するため)。これらの考察から、カスコード接続した際のゲート
接地回路部分は“入力トランジスタ内で雑音電流がループするため、出力に
雑音が発生しない
”という重要な結論が得られます(ここは後述します)。
いま何時かにゃ~
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Author:たみひかのろ
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目標であったオペアンプの設計に6年かけて到達しました。ここからは応用的な内容を書ける限り書いていきたいと思います。

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